ゲストハウスとは -特徴と傾向-

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ゲストハウスとは

ゲストハウス(ホステルを含む)は、共用リビングを有した“シェアする旅の宿”です。プライベート性の高いホテルや旅館とは異なり、初対面の宿泊者同士・宿のスタッフ・地域の人々など、他者との繋がりを重視した共用空間を設けた、パブリック性の高い宿を指すケースが多くなっています。

素泊まり1泊3500〜4500円から滞在できたり、併設されたカフェやバーに1杯から立ち寄れたり。そういった気軽さだけでなく、普段のコミュニティとは異なる関わり合いや、観光本にはないローカルな情報を求めて、職業・年齢・国籍を問わず、多彩なバックグラウンドの人々が世界中から集まっています。

その空間の在り方は、まるで “百科事典”のようです。「あ(A)」から「ん(Z)」までページをめくるように、さまざまな人々の価値観に触れることで、世界観が広がる。日常生活に戻り、ふと「こういう時、あの人ならどうするだろう?」と思考回路を引用し、新たな答えにたどり着けるようになる。

そんな「暮らしの選択肢」が広がる旅の宿に、あなたも行ってみませんか?

ゲストハウスの特徴

FootPrintsでは下記のようにゲストハウスを定義しています。ただし法的な定義が国内で確立されていないため、あくまで当サイトとしての定義です。但し書きの通り、2・3・4にはバリエーションがあり、1が全体の共通軸となっている印象です。ホステルやバックパッカーズと呼ばれる宿も、ほぼ同義語です。

2組以上の宿泊を前提としているため、定義外の例として挙げられるのは1日1組限定の一棟貸し切りタイプの宿など。当サイトでは、ゲストハウス・ヘビーユーザーの「だり」が実際に宿泊してみて「好きだな」と感じたもののみ、一棟貸し切りタイプの宿もGuideページで紹介させていただいています。

  1. 共用リビングがある
  2. 素泊まり1泊から滞在できる  ※食事や食材込みの場合もあり
  3. ドミトリー(相部屋)がある  ※個室のみの場合もあり
  4. トイレとシャワーなど水回りが共用  ※各個室に付属の場合もあり

私は、ゲストハウスって辞書通りの“交流”の場だと思っています。“交流”とは「違った系統のものが、互いに行きかい、入りまじること」。共生空間を体感するものであって、ワイワイ会話するのが全てじゃない。去り際に「この人と一緒の日でよかったなぁ」とほんのり思える関係性が生まれたら素敵ですね。

相部屋は静かに過ごす場所。「挨拶はぜひ。おしゃべりは控えめに」が暗黙のマナーかなと思います!

イラストのように脱衣所まで共用のゲストハウスは稀ですが、たきもとさんのイラストが可愛いのでそのまま(笑)

日本でのゲストハウスの誕生

国内で最初に誕生したのは、1980年前半だとされています。

1964年に東京オリンピック、1970年に大阪万博が開催され、この頃から世界各地のバックパッカーが日本を訪れはじめました。1970年代のオイルショックによる不安定な経済状況やビジネスホテルの登場から、日本人を対象としていた昔ながらの旅館(水回りが共用のもの)は窮地に追い込まれ、苦肉の策として素泊まりのインバウンド集客に舵を切ったところ、バックパッカーたちのニーズに合致。

これが現在のゲストハウスの前身だと言われています。1980年前半には「ゲストハウス」を屋号に掲げた宿が登場しており、日本のゲストハウスの誕生が1980年代以前であることは確実です。

ゲストハウス?ホステル?呼び名の違い

ルーツの違いから、ゲストハウスという呼び名は小規模な古民家型の宿を指す傾向にあり、アジア系の方々に親しまれている言葉です。ホステルやバックパッカーズという呼び名は大規模なビル型の宿を指す傾向にあり、欧米系の方々に親しまれています。

  • ゲストハウス : 小規模・古民家型・アジア人に馴染みあり
  • ホステル or バックパッカーズ : 大規模・ビル型・欧米人に馴染みあり

ゲストハウス増加の背景

2011年頃から増えはじめ、当時は200〜300軒と認識されていた軒数も、2020年現在は2500軒ほどになっています。ゲストハウス増加の背景には、モデルケースとなる宿の登場や、地方創生や空き家活用を目的とした国の方針による追い風、東日本大震災以降の生き方の見直し、SNSという無料宣伝ツールの主流化、東京オリンピック2020の招致決定など、さまざまな要因が重なり合っています。

リーズナブルな宿が多いにもかかわらず、空き物件をデザイン性高くリノベーションしたものや、併設されたカフェやバーで地元の食材やお酒が味わえるもの、海辺や里山にあり大自然が堪能できるものなど、快適で個性的、かつ魅力的な思いを込めて運営されているゲストハウスが日本各地に存在しています。

  • ゲストハウスが多い県 : 京都・東京、次いで大阪・北海道・沖縄
  • ゲストハウスが少ない県 : 東北地方は北に上がるほどまだ少なめ。

飲食店併設と一口で言っても、大きなレストランから小さなバーまで、タイプはさまざまです。

ゲストハウスのあるある用語

・ドミトリー:相部屋のこと。「ドミ」や「DM」と略される。カーテン付きの2段ベッド式が多い。
・混合ドミトリー:男女混合の相部屋のこと。「混合ドミ」や「MIX(ミックス)」と略される。
・女性専用ドミトリー:女性専用の相部屋のこと。「女ドミ(ジョドミ)」や「FD」と略される。
・男性専用ドミトリー:男性専用の相部屋のこと。「男ドミ(ダンドミ)」や「MD」と略される。
・個室:「PR(プライベート・ルームの頭文字)」と略されることもある。

ゲストハウスに有るもの・無いもの

下記はあくまで平均的な目安です。宿泊前に必ず、各宿の公式サイトをご確認ください。
・きっと有る:ドライヤー、ハンガー、Wi-Fi、枕元の電源、枕元の明かり
・たぶん有る:シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、貴重品ボックス
・たまに有る:タオル、化粧水、乳液、耳栓、フリードリンク、手づくりのマップ
・有料なら、きっと有る:タオル、歯ブラシ、洗濯機
・有料なら、たまに有る:乾燥機、レンタサイクル、朝食
・きっと無い:パジャマ、浴衣

ゲストハウスを楽しむための3ケ条

  1. 夕食前にチェックイン:おすすめの飲食店を聞いてみる。運が良ければ旅仲間も見つかるかも。
  2. 能動的が吉:「きっとしてくれるはず」と待たず、気になることがあればポジティブに行動を。
  3. 2泊2訪以上:2泊以上で居心地が増し、2訪以上で季節や地域の変化が楽しめます。

連載「My・ゲストハウス楽しみ方案内」|Hostelworld×FootPrints』のページに詳細を記載しているので、よければそちらもご覧くださいね。

(文:FootPrints だり / イラスト:たきもと つよし